
2023年07月27日
2023年8月11日(金)表現よみとはなにか講義―『表現よみとは何か』解説
今から28年前に書かれた渡辺知明『表現よみとは何か―朗読で楽しむ文学の世界』(1995明治図書)は、朗読を表現にするための理論を解説する著作であった。だが、当時はまだ朗読の限界というものが考えられていなかった。いわば早すぎた理論書である。だが、今に至って多くの人たちの朗読活動によって、朗読における表現とは何かが問題になっている。それを機会に、表現よみの原点についての公開講義を開催する。

2022年09月17日
「深浅アクセント」の原理と練習法=渡辺知明
2022年06月18日
英語絵本『The Giving tree』と日本語訳『おおきな木』を表現して読むワークショップ
2022年7月10日(日)14時から16時まで、東京神田神保町ブックハウスカフェで『The Giving tree』の英語原文と、日本語翻訳の読み方のワークショップを開催する。
英語はリードアラウド研究会の大島英美さん、日本語訳は表現よみの渡辺知明である。

・ブックハウスカフェ【イベントリンク】https://bookhousecafe.jp/event/content/485
英語はリードアラウド研究会の大島英美さん、日本語訳は表現よみの渡辺知明である。

・ブックハウスカフェ【イベントリンク】https://bookhousecafe.jp/event/content/485
2020年02月06日
2019年10月05日
第36回渡辺知明表現よみ独演会―太宰治&中島敦生誕110年―
2019年は太宰治と中島敦の生誕110年の年である。中島敦は戦中に33歳で亡くなり、太宰治は戦後に39歳で亡くなった。終戦を挟んだ6年という期間について考えてみたい。
戦中の2人の作品を読みながら、2人が共有していた時代精神と生の姿をとらえて、お話しするつもりである。中島敦では、「南洋譚」から「幸福」「夫婦」「鷄」について取り上げたい。この時期の太宰治の作品は「十二月八日」と中期の「お伽草紙」「新釈諸国噺」シリーズ12作品のいずれかである。
中島敦は、昭和16年7月からパラオに滞在した。そこで12月8日の日米開戦を知る。その三年後、昭和19年4月、わたしの父がパラオに上陸した。そして、終戦まで現地で過ごしたのだ。

戦中の2人の作品を読みながら、2人が共有していた時代精神と生の姿をとらえて、お話しするつもりである。中島敦では、「南洋譚」から「幸福」「夫婦」「鷄」について取り上げたい。この時期の太宰治の作品は「十二月八日」と中期の「お伽草紙」「新釈諸国噺」シリーズ12作品のいずれかである。
中島敦は、昭和16年7月からパラオに滞在した。そこで12月8日の日米開戦を知る。その三年後、昭和19年4月、わたしの父がパラオに上陸した。そして、終戦まで現地で過ごしたのだ。


2019年08月07日
第37回表現よみオーの会公演チラシ
2019年07月31日
渡辺知明の表現よみで「アリスの世界を楽しむ」
2019年8月18日(日)富岡市立美術館で、渡辺知明が『不思議の国のアリス』にちなんだ作品の表現よみ公演を開催します。

2019年の公演・前半
2019年の公演・後半
2015年の公演YouTube動画
2013年「虔十公園林」動画

2019年の公演・前半
2019年の公演・後半
2015年の公演YouTube動画
2013年「虔十公園林」動画
2019年06月06日
2019年05月08日
第35回渡辺知明表現よみ独演会=日本文学に描かれた人間の生(せい)
2019年03月09日
2019年3月21日(金)えびなコトバの会第4回表現よみ発表会
2019年02月06日
2019年02月05日
表現よみ記号づけの一覧表
文学作品を表現よみするための「記号づけ」というものがある。小学生からおとなまで、だれでもつけられる記号を10通り取り上げている。
「記号づけ」には2つのはたらきがある。(1)文学作品の分析、(2)音声化の手がかりとなるのである。
●YouTubeでの解説動画=(1)表現よみの評価、(2)イントネーションとアクセント、(3)係り受けとイントネーション
https://www.youtube.com/watch?v=Jiugtw0JATc&t=1s
https://www.youtube.com/watch?v=O2EpK2SDpNI&t=46s
https://www.youtube.com/watch?v=OcCU1IWDuCo


●参考文献=渡辺知明著『表現よみとは何か―朗読で楽しむ文学の世界』(1995明治図書出版)、『朗読の教科書―豊かな日本語表現の技術』(2012パンローリング社)、『声を鍛える』(2017芸術新聞社)
「記号づけ」には2つのはたらきがある。(1)文学作品の分析、(2)音声化の手がかりとなるのである。
●YouTubeでの解説動画=(1)表現よみの評価、(2)イントネーションとアクセント、(3)係り受けとイントネーション
https://www.youtube.com/watch?v=Jiugtw0JATc&t=1s
https://www.youtube.com/watch?v=O2EpK2SDpNI&t=46s
https://www.youtube.com/watch?v=OcCU1IWDuCo


●参考文献=渡辺知明著『表現よみとは何か―朗読で楽しむ文学の世界』(1995明治図書出版)、『朗読の教科書―豊かな日本語表現の技術』(2012パンローリング社)、『声を鍛える』(2017芸術新聞社)
2019年01月03日
渡辺知明が表現よみの「記号づけ」をしたテキストを販売!
かつてさまざまな浄瑠璃の流派のなかで「義太夫節」が生き残ったのは、その「読み本」に記号がつけてあったからだ。私の提唱する表現よみでは「記号づけ」は欠かせないものである。二十年来、講義を続けてきたカルチャー教室には記号づけされテキストが残っている。欠席した受講生は、あとからこのテキストをもらうことによって、すぐにひとりで復習ができるのである。
今回、下記の表現よみ記号づけのテキストを一般の方々にも販売することにした。音楽の世界では楽譜が売られている。朗読の世界で、よりよい読み方をするためには、表現よみの記号づけテキストで学べばよいのである。アクセント、イントネーション、プロミネンスの表現はもちろん、それぞれの作品の読みどころが見えてくるような記号がつけられている。
渡辺知明著『朗読の教科書―豊かな日本語表現の技術』(2012パンローリング社)の記号づけ解説と合わせて読むことによって簡単に表現の技術を身につけられるのである。1作品はA4版タテ2段組み4ページから6ページ。右下は太宰治「喧嘩次郎兵衛」の見本。
現在入手可能なテキストの一覧を下記に示した。ご希望の方は、2作品まとめて500円を郵便振替で振り込んでくだされば、PDFファイルでお送りする。@氏名、Aメールアドレス、B希望作品を記入のこと。コトバ表現研究所:00130-6-577697


◎表現よみ記号づけテキストPDF(2019年1月3日現在)
年月 作品 作者
・0812富嶽百景・前半/太宰治
・0902富嶽百景・後半/太宰治
・0906オツベルと象/宮澤賢治
・0912檸檬/梶井基次郎
・1004正義派/志賀直哉
・1006カチカチ山/太宰治
・1010忘れ得ぬ人/国木田独歩
・1105古典のかきだし/徒然草/序段、枕草子/春はあけぼの、方丈記/序、源氏物語/冒頭、平家物語/冒頭、竹取物語/冒頭、奥の細道/序文
・1107郊外/国木田独歩
・1101みそっかす/幸田文
・1111武蔵野/国木田独歩
・1203喧嘩治郎兵衛/太宰治
・1208風立ちぬ/堀辰雄
・1212転生/志賀直哉
・1306瘤取り/太宰治t
・1308路上/梶井基次郎
・1312ネコの事務所/宮澤賢治
・1404鹿狩り/国木田独歩
・1409与一の天のぼり/川崎大治
・1411そろばんじょうず・もち屋の禅問答/川崎大治
・1502芋粥・前半/芥川龍之介
・1505芋粥・後半/芥川龍之介
・1507扇の的と知盛最後/平家物語
・1511カチカチ山2人よみ/太宰治
・1602坊っちゃん(2)夏目漱石
・1605坊っちゃん(3)夏目漱石
・1608硝子戸の中(1)2/12/13夏目漱石
・1610硝子戸の中(2)31/32/36/37夏目漱石
・1701硝子戸の中(3)19/20/21夏目漱石
・1703交尾/梶井基次郎
・1706檸檬/梶井基次郎
・1711黄金風景・海/太宰治
・1801失敗園・花売り娘/太宰治
※参考
・記号づけ動画「十三夜」https://www.youtube.com/watch?v=HRBZFORH9_E&t=22s
・記号づけ動画「たけくらべ」https://www.youtube.com/watch?v=NWtVMAKDexk&t=40s
・記号づけ動画「黄金風景」https://www.youtube.com/watch?v=VUb-mwsT-x4&t=299s
今回、下記の表現よみ記号づけのテキストを一般の方々にも販売することにした。音楽の世界では楽譜が売られている。朗読の世界で、よりよい読み方をするためには、表現よみの記号づけテキストで学べばよいのである。アクセント、イントネーション、プロミネンスの表現はもちろん、それぞれの作品の読みどころが見えてくるような記号がつけられている。
渡辺知明著『朗読の教科書―豊かな日本語表現の技術』(2012パンローリング社)の記号づけ解説と合わせて読むことによって簡単に表現の技術を身につけられるのである。1作品はA4版タテ2段組み4ページから6ページ。右下は太宰治「喧嘩次郎兵衛」の見本。
現在入手可能なテキストの一覧を下記に示した。ご希望の方は、2作品まとめて500円を郵便振替で振り込んでくだされば、PDFファイルでお送りする。@氏名、Aメールアドレス、B希望作品を記入のこと。コトバ表現研究所:00130-6-577697


◎表現よみ記号づけテキストPDF(2019年1月3日現在)
年月 作品 作者
・0812富嶽百景・前半/太宰治
・0902富嶽百景・後半/太宰治
・0906オツベルと象/宮澤賢治
・0912檸檬/梶井基次郎
・1004正義派/志賀直哉
・1006カチカチ山/太宰治
・1010忘れ得ぬ人/国木田独歩
・1105古典のかきだし/徒然草/序段、枕草子/春はあけぼの、方丈記/序、源氏物語/冒頭、平家物語/冒頭、竹取物語/冒頭、奥の細道/序文
・1107郊外/国木田独歩
・1101みそっかす/幸田文
・1111武蔵野/国木田独歩
・1203喧嘩治郎兵衛/太宰治
・1208風立ちぬ/堀辰雄
・1212転生/志賀直哉
・1306瘤取り/太宰治t
・1308路上/梶井基次郎
・1312ネコの事務所/宮澤賢治
・1404鹿狩り/国木田独歩
・1409与一の天のぼり/川崎大治
・1411そろばんじょうず・もち屋の禅問答/川崎大治
・1502芋粥・前半/芥川龍之介
・1505芋粥・後半/芥川龍之介
・1507扇の的と知盛最後/平家物語
・1511カチカチ山2人よみ/太宰治
・1602坊っちゃん(2)夏目漱石
・1605坊っちゃん(3)夏目漱石
・1608硝子戸の中(1)2/12/13夏目漱石
・1610硝子戸の中(2)31/32/36/37夏目漱石
・1701硝子戸の中(3)19/20/21夏目漱石
・1703交尾/梶井基次郎
・1706檸檬/梶井基次郎
・1711黄金風景・海/太宰治
・1801失敗園・花売り娘/太宰治
※参考
・記号づけ動画「十三夜」https://www.youtube.com/watch?v=HRBZFORH9_E&t=22s
・記号づけ動画「たけくらべ」https://www.youtube.com/watch?v=NWtVMAKDexk&t=40s
・記号づけ動画「黄金風景」https://www.youtube.com/watch?v=VUb-mwsT-x4&t=299s
2018年10月20日
2018年11月18日(日)第34回渡辺知明表現よみ独演会
2018年10月06日
2018/11/9 川崎多摩朗読の会―表現よみ発表会
18/10/26 「声で親しむ文芸―文学作品の表現よみ」川崎多摩表現よみの会
2018年08月08日
第35回表現よみオーの会公演のチラシ
2018年9月2日(日)第35回表現よみオーの会のチラシをアップする。
今回は、夏目漱石の生誕151年と太宰治の没後70年を合わせた特集である。
今回の目玉は、太宰治「舌切雀(お伽草紙より)」のドラマリーディングである。
わたしは独演会で演じたことはあるがドラマリーディングは本邦初演である。
チケットは一般1,500円、学割1,000円である。
●ドラマリーディング「舌切雀」YouTube
【参考】渡辺知明の表現よみ=「舌切雀」リンク
今回は、夏目漱石の生誕151年と太宰治の没後70年を合わせた特集である。
今回の目玉は、太宰治「舌切雀(お伽草紙より)」のドラマリーディングである。
わたしは独演会で演じたことはあるがドラマリーディングは本邦初演である。
チケットは一般1,500円、学割1,000円である。
●ドラマリーディング「舌切雀」YouTube
【参考】渡辺知明の表現よみ=「舌切雀」リンク

2018年04月29日
第33回渡辺知明表現よみ独演会=太宰治の陰にニーチェはいるか?
2018年04月09日
2018年03月12日
渡辺知明「朗読を楽しもう!」オープン・セサミ/ブランド・ニュー・アイ
オープン・セサミ/ブランド・ニュー・アイ「朗読を楽しもう!」
2003年12月18日(木)9:30-50 JFN提供
ゲスト=渡辺知明/聞き手=山川 牧
【オープニング】表現よみ「てぶくろを買いに(新美南吉)」
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
――聴いていただきましたか。今日は朗読についてご紹介します。オープニングで朗読をしてくださったのは、本日のゲスト日本コトバの会の講師でコトバ表研究所を主宰なさいます渡辺先生です。おはようございます。よろしくお願いします。
渡辺 よろしくお願いします。
――いま小さい子どもの気持ちにもどって、もっと聴きたいと思いました。時間が限られているので申しわけありません。まず、朗読というのはどういうものですか? ひと言で言うと何でしょうか。
渡辺 朗読とはまず第一によむことです。声に出してよむことです。黙って読むのは黙読です。もうひとつ大事なのは、意味が分かってよむことです。よんでいる人も意味が分からなければならないし、聞いている人も意味が分からなくてはいけない。
――今の朗読には、お母さんのキツネと子どものキツネの声にいろいろな表情がついていますね。これにはテクニックは必要なのですか。
渡辺 文字を読んでしまう人がいます。字を読むひとや文を読む人がいます。また、台本のようによんでしまう人がいます。大事なのは作品なのです。だれかがしゃべっている調子でよむのです。そうすると表現して語る調子が出てきます。
――初めて朗読をする人に先生は何から教えてらっしゃるのですか?
渡辺 なにって?
――たとえば、私が朗読をやりたくて先生のところに行ったとします。そのとき、まずこれをしなさいというのは何でしょうか。
渡辺 「自分で意味が分かるようによみなさい」ということです。
――相手に伝えるときに……
渡辺 「相手に伝えるということは考えるな。自分が分からないものは相手に伝わらない」といいます。よんでいる瞬間、その都度、自分の中にイメージをわかしてよむのです。ですから、わたしは最初からでっかい声を出せということは言わないんです。「あなたは分かっているの」といいます。
――要するに、文章を目で追いかけるのではなくて、ちゃんと自分の気持ちに入っているかどうかですね。物語を選ぶのはどんな基準ですか。
渡辺 文章がいい作品のほうがよみやすいですね。
――文章がいい悪いというのは、初めての人には判断がむずかしいですね。
渡辺 ええ、一見して意味がとれないようなもののほうがやりがいがあります。それをほじくってよんでいくのです。オーラル・インタープリテーションというものがあります。つまり、声に出して文章の意味が分かることがよくありますね、むずかしい文章など。それが基本です。
――なるほど。
渡辺 だから、ちょっとちがいます、普通の朗読とわたしの考えとは。
――では、後半でも引き続きお話をうかがっていきます。
(休憩)
――オープン・セサミ、ブランド・ニュー・アイ。今日は朗読についてお送りしています。日本コトバの会の講師でコトバ表現研究所を主宰なさいます渡辺先生にお話をおうかがいしています。引き続きよろしくお願いします。
渡辺 よろしくお願いします。
――私ね、朗読って、思い出したんですけど、小さいときに母であったり、おじいちゃんであったり、よんでくれたってのがあるんですけど、そこから読んでもらうことがなかったのです。もちろん自分でよむのも大切ですが、朗読というのは昔とくらべて最近ではやられている人の数は多いのでしょうか。
渡辺 増えていますよね。目で読むよりも、自分自身が楽しいし、聴いている人も楽しいし、両方が楽しいからね。それで増えていると思います。
――若いかたも……
渡辺 若いかたは詩を読んだり、ポエトリー・リーディングというかたちですね。表現できますからね。学校でよむのは字面をよみなさいということで、字と漢字をよんでおわっちゃうけれど。表現できるのがおもしろい。ですから、わたしは朗読よりも「表現よみ」と言った方がいいと思っています。
――先生が朗読をしようと思ったきっかけは何だったのですか。
渡辺 わたしはもともと小説が好きで読んでいたのですが、声を出した方が小説がわかるなと思ったからです。
――たしかに、私の仕事がら原稿が出されますけれど、自分で声を出した方がはいりますものね。
渡辺 そうですね。また、小説の語り口という調子が声に出すことで確かめられます。歌でも楽譜をよんでもおもしろくないですね。
――歌ってみる。
渡辺 そうです。歌ってみる。それと同じです。
――生徒さんに教えてらっしゃって、朗読に向いている人、向いていない人というのはありますか。
渡辺 これには問題があります。自分が楽しむのか、人に聴かせるのかということです。自分が楽しむのだったら自分がよめばいいでしょう。それも朗読です。
――では、人を楽しませたいときに、先生がレッスンのなかで注意するのは何ですか。
渡辺 あのね、ウソをつかないことですね。つまり、自分の心に浮かんだ分だけ声に表現すればいい。心にもないのに大袈裟にいったらウソっぽく響くわけだから、まず自分が作品の中に入る。理解して自分がその気持ちになった分だけ声に出すのがいちばん大事です。
――声だけではなく気持ちがともなっていないとできないのですね。
渡辺 だから、読み込みが大事ということが言えます。
――初めてよむときは、先生に教わったり、生徒さんのなかでやるので恥ずかしさがあるでしょうね。
渡辺 ありますね。最初は恥ずかしいでしょう。大きい口をあけたり、ふだんとちがう言い方をしますからね。でも、作品の中にはいっちゃえば、恥ずかしさはなくなっちゃう。自分ではないのですから、「愛してます」なんて言っても、自分ではなく作品の中の人物が言っていると思えば、恥ずかしくなく言えますね。
――人の気持ちを、自分が代わって伝えるということでしょうかね。
渡辺 そうですね。
――朗読ってむずかしいことだと思います。書いた人や主人公の気持ちになって、言葉で発するわけですからね。コツというものはあるんですか。
渡辺 文章を正確によむことが大事ですね。そうしないで、目でパッと見て、単語に力を入れてみたりする。文章をよくよめば力の入れどころはわかるんです。意味を強めるところです。何度も繰り返してよみながら、表現までしていくということをすれば、うまくいく。
――読解力ですね。
渡辺 そうです。
――私も勉強しなくちゃ(笑)。先生のすすめられる初心者用の朗読本を教えてくださいますか。
渡辺 太宰治の書いた「思い出」という作品です。これは初心者でも気持ちがすっとはいれます。あとは、志賀直哉の作品、どれもよく文章が書けています。一見やさしいけれども読む込むと深い。わたしが好きでオススメするのは、梶井基次郎と中島敦の作品、これは文章がとてもどちらもすばらしい。味わえます。
――なるほどね。あっ、今日、先生に朗読していただいた作品を紹介するのを忘れていました。新美南吉「てぶくろを買いに」という作品でした。こちらを選んだポイントは何だったのでしょうか。
渡辺 やさしさですかね。自分が子どもにもなれるし、お母さんにもなれる。それがみなさんにどう伝わったかが問題ですけれど、やさしさがいいですね。
――十二月のこの気ぜわしい時期に、ほっとしたやさしい気持ちと、ちょうど雪も出てきましたし、時期に合ったのじゃないかな。先生はいろいろな講座を開いていらっしゃいますが、地方講演などはなさるのですか。
渡辺 お呼びが掛かればどこへでも出かけますよ。来年は福島へ行くかなという予定があります。わたしのグループで朗読劇的なものをやろうかという話が出ています。まだ固まっていません。
――決まったら、このオープンセサミでもお知らせしたいと思います。では、最後に朗読に関するアドバイスをお願いします。
渡辺 簡単なことです。頭を使ってよみましょう。カラダでよむ朗読が最近、流行っていますが、カラダにプラスして頭が必要です。読解も必要だし、作品を読み込むことは理解することです。理解が表現になったときに、ウソをつかない本物の朗読ができるかと思います。
――渡辺先生の前で私が朗読したら、「この子はこんなことを考えているな」って、性格分析までされちゃいそうですね(笑)。では、みなさんもぜひ朗読にチャレンジしてみてください。今日は日本コトバの会の講師でコトバ表研究所を主宰なさいます渡辺先生に朗読、教えていただきました。ありがとうございました。
渡辺 ありがとうございました。
――しゃべるのに、緊張しました。それでは、こちらの曲を聴いていただきます。(了)
2003年12月18日(木)9:30-50 JFN提供
ゲスト=渡辺知明/聞き手=山川 牧
【オープニング】表現よみ「てぶくろを買いに(新美南吉)」
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
――聴いていただきましたか。今日は朗読についてご紹介します。オープニングで朗読をしてくださったのは、本日のゲスト日本コトバの会の講師でコトバ表研究所を主宰なさいます渡辺先生です。おはようございます。よろしくお願いします。
渡辺 よろしくお願いします。
――いま小さい子どもの気持ちにもどって、もっと聴きたいと思いました。時間が限られているので申しわけありません。まず、朗読というのはどういうものですか? ひと言で言うと何でしょうか。
渡辺 朗読とはまず第一によむことです。声に出してよむことです。黙って読むのは黙読です。もうひとつ大事なのは、意味が分かってよむことです。よんでいる人も意味が分からなければならないし、聞いている人も意味が分からなくてはいけない。
――今の朗読には、お母さんのキツネと子どものキツネの声にいろいろな表情がついていますね。これにはテクニックは必要なのですか。
渡辺 文字を読んでしまう人がいます。字を読むひとや文を読む人がいます。また、台本のようによんでしまう人がいます。大事なのは作品なのです。だれかがしゃべっている調子でよむのです。そうすると表現して語る調子が出てきます。
――初めて朗読をする人に先生は何から教えてらっしゃるのですか?
渡辺 なにって?
――たとえば、私が朗読をやりたくて先生のところに行ったとします。そのとき、まずこれをしなさいというのは何でしょうか。
渡辺 「自分で意味が分かるようによみなさい」ということです。
――相手に伝えるときに……
渡辺 「相手に伝えるということは考えるな。自分が分からないものは相手に伝わらない」といいます。よんでいる瞬間、その都度、自分の中にイメージをわかしてよむのです。ですから、わたしは最初からでっかい声を出せということは言わないんです。「あなたは分かっているの」といいます。
――要するに、文章を目で追いかけるのではなくて、ちゃんと自分の気持ちに入っているかどうかですね。物語を選ぶのはどんな基準ですか。
渡辺 文章がいい作品のほうがよみやすいですね。
――文章がいい悪いというのは、初めての人には判断がむずかしいですね。
渡辺 ええ、一見して意味がとれないようなもののほうがやりがいがあります。それをほじくってよんでいくのです。オーラル・インタープリテーションというものがあります。つまり、声に出して文章の意味が分かることがよくありますね、むずかしい文章など。それが基本です。
――なるほど。
渡辺 だから、ちょっとちがいます、普通の朗読とわたしの考えとは。
――では、後半でも引き続きお話をうかがっていきます。
(休憩)
――オープン・セサミ、ブランド・ニュー・アイ。今日は朗読についてお送りしています。日本コトバの会の講師でコトバ表現研究所を主宰なさいます渡辺先生にお話をおうかがいしています。引き続きよろしくお願いします。
渡辺 よろしくお願いします。
――私ね、朗読って、思い出したんですけど、小さいときに母であったり、おじいちゃんであったり、よんでくれたってのがあるんですけど、そこから読んでもらうことがなかったのです。もちろん自分でよむのも大切ですが、朗読というのは昔とくらべて最近ではやられている人の数は多いのでしょうか。
渡辺 増えていますよね。目で読むよりも、自分自身が楽しいし、聴いている人も楽しいし、両方が楽しいからね。それで増えていると思います。
――若いかたも……
渡辺 若いかたは詩を読んだり、ポエトリー・リーディングというかたちですね。表現できますからね。学校でよむのは字面をよみなさいということで、字と漢字をよんでおわっちゃうけれど。表現できるのがおもしろい。ですから、わたしは朗読よりも「表現よみ」と言った方がいいと思っています。
――先生が朗読をしようと思ったきっかけは何だったのですか。
渡辺 わたしはもともと小説が好きで読んでいたのですが、声を出した方が小説がわかるなと思ったからです。
――たしかに、私の仕事がら原稿が出されますけれど、自分で声を出した方がはいりますものね。
渡辺 そうですね。また、小説の語り口という調子が声に出すことで確かめられます。歌でも楽譜をよんでもおもしろくないですね。
――歌ってみる。
渡辺 そうです。歌ってみる。それと同じです。
――生徒さんに教えてらっしゃって、朗読に向いている人、向いていない人というのはありますか。
渡辺 これには問題があります。自分が楽しむのか、人に聴かせるのかということです。自分が楽しむのだったら自分がよめばいいでしょう。それも朗読です。
――では、人を楽しませたいときに、先生がレッスンのなかで注意するのは何ですか。
渡辺 あのね、ウソをつかないことですね。つまり、自分の心に浮かんだ分だけ声に表現すればいい。心にもないのに大袈裟にいったらウソっぽく響くわけだから、まず自分が作品の中に入る。理解して自分がその気持ちになった分だけ声に出すのがいちばん大事です。
――声だけではなく気持ちがともなっていないとできないのですね。
渡辺 だから、読み込みが大事ということが言えます。
――初めてよむときは、先生に教わったり、生徒さんのなかでやるので恥ずかしさがあるでしょうね。
渡辺 ありますね。最初は恥ずかしいでしょう。大きい口をあけたり、ふだんとちがう言い方をしますからね。でも、作品の中にはいっちゃえば、恥ずかしさはなくなっちゃう。自分ではないのですから、「愛してます」なんて言っても、自分ではなく作品の中の人物が言っていると思えば、恥ずかしくなく言えますね。
――人の気持ちを、自分が代わって伝えるということでしょうかね。
渡辺 そうですね。
――朗読ってむずかしいことだと思います。書いた人や主人公の気持ちになって、言葉で発するわけですからね。コツというものはあるんですか。
渡辺 文章を正確によむことが大事ですね。そうしないで、目でパッと見て、単語に力を入れてみたりする。文章をよくよめば力の入れどころはわかるんです。意味を強めるところです。何度も繰り返してよみながら、表現までしていくということをすれば、うまくいく。
――読解力ですね。
渡辺 そうです。
――私も勉強しなくちゃ(笑)。先生のすすめられる初心者用の朗読本を教えてくださいますか。
渡辺 太宰治の書いた「思い出」という作品です。これは初心者でも気持ちがすっとはいれます。あとは、志賀直哉の作品、どれもよく文章が書けています。一見やさしいけれども読む込むと深い。わたしが好きでオススメするのは、梶井基次郎と中島敦の作品、これは文章がとてもどちらもすばらしい。味わえます。
――なるほどね。あっ、今日、先生に朗読していただいた作品を紹介するのを忘れていました。新美南吉「てぶくろを買いに」という作品でした。こちらを選んだポイントは何だったのでしょうか。
渡辺 やさしさですかね。自分が子どもにもなれるし、お母さんにもなれる。それがみなさんにどう伝わったかが問題ですけれど、やさしさがいいですね。
――十二月のこの気ぜわしい時期に、ほっとしたやさしい気持ちと、ちょうど雪も出てきましたし、時期に合ったのじゃないかな。先生はいろいろな講座を開いていらっしゃいますが、地方講演などはなさるのですか。
渡辺 お呼びが掛かればどこへでも出かけますよ。来年は福島へ行くかなという予定があります。わたしのグループで朗読劇的なものをやろうかという話が出ています。まだ固まっていません。
――決まったら、このオープンセサミでもお知らせしたいと思います。では、最後に朗読に関するアドバイスをお願いします。
渡辺 簡単なことです。頭を使ってよみましょう。カラダでよむ朗読が最近、流行っていますが、カラダにプラスして頭が必要です。読解も必要だし、作品を読み込むことは理解することです。理解が表現になったときに、ウソをつかない本物の朗読ができるかと思います。
――渡辺先生の前で私が朗読したら、「この子はこんなことを考えているな」って、性格分析までされちゃいそうですね(笑)。では、みなさんもぜひ朗読にチャレンジしてみてください。今日は日本コトバの会の講師でコトバ表研究所を主宰なさいます渡辺先生に朗読、教えていただきました。ありがとうございました。
渡辺 ありがとうございました。
――しゃべるのに、緊張しました。それでは、こちらの曲を聴いていただきます。(了)