2007年11月06日

朗読批評講座(5)アニメ風朗読の表現

 このシリーズのきっかけは、「蜘蛛の糸」をテキストにして朗読の実験的なパターンを16通り録音してみたことです。そして、わたしの「蜘蛛の糸」のよみをまとめとして示しました。

 第5回はアニメ風の朗読です。アニメの吹き替えの声優さんが朗読をするとこんな風になるというものです。これは意図的に作られた不自然なつくり声です。その表現の特徴は、次のような点にあります。

 (1)きれいな声をマイクに入れようという意識
 (2)口先で声の調整をしようという意識
 (3)声を鼻に響かせると同時にウラ声になる

 まずは、わたしのよみです。わざと女性風のつくり声にしています。ちょっと気持ち悪いのですが我慢してお聴きください。
 
 このよみ方をした太宰治「猿ヶ島」を聞いたことがあります。声に引きずられてアニメのようなイメージが浮かびました。そんな演出もあるでしょう。しかし、問題は作品の「語り口」です。アニメにした「猿ヶ島」ならいいのですが、文学版「猿ヶ島」には、この声はふさわしくありません。

 クセになった「アニメ風」の声で朗読をしている人は、次のような点に注意しましょう。探し求めるのは、最も自然な自分自身の声です。

 (1)「語り手」の声でリアルな人間の表現を目指すこと
 (2)たっぷりした息の出せる発声法を身につける訓練
 (3)鼻にかかる声とかからない声、ウラとオモテの声の訓練

 以上の3点については、『Web表現よみ入門』のとくに「声のウラとオモテ」「声の4種類」を参照。
posted by 渡辺知明 at 11:08| Comment(0) | TrackBack(1) | 朗読批評講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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