2007年10月15日

映画の魅力は人物の魅力―『青空のルーレット』から

 映画の魅力の大きな要素に人物の魅力がある。初めて出会った俳優であっても、作品を見ているうちに親しみを感じて、いつの間にかその人物と知り合いになったように気になる。そして、見終わったあとには、「ああ、人間とはいいものだな」と思わせてくれる。映画評論家・淀川長治さんもこんなことを言っていたような気がする。

 さて、『青空のルーレット』である。この作品に登場する俳優たちのほとんどを、わたしは知らなかった。しかし、試写を一度見ただけで以前からの知り合いのような気がする。そして、それぞれの人物たちの存在感がうれしい。それは、テレビのヴァラエティなどでは出会うことのできない魅力的な人間の姿だ。

 主役の塩谷瞬――働く青年の青春の姿。ヒロインの貫地谷しほり――表情の豊かさと手紙を読む声の表現力。主人公の同僚の青年たちのすがすがしさ。憎まれ役・平田満の微妙なユーモアもいい。

 そして、小説家志望の萩原さんの妻・鈴木砂羽、中島知子の演ずるところのキャバレーのホステス、包容よくある女性の典型だろう。この作品の人物たちと出会う楽しみ――それも作品『青空のルーレット』の魅力だ。(2007年11月3日より公開。映画『青空のルーレット』公式サイト)
posted by 渡辺知明 at 11:22| Comment(0) | TrackBack(1) | 批評と感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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映画・ア行 青空のルーレット
Excerpt: 映画・ア行 青空のルーレット (2007)今回の映画は、「青空のルーレット」です。本作「青空のルーレット」は、太宰治賞受賞の作家・辻内智貴さんの『青空のルーレット』(光文社刊)を映画化した青春映画です..
Weblog: 公開映画情報
Tracked: 2007-11-26 22:40
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