さて、『青空のルーレット』である。この作品に登場する俳優たちのほとんどを、わたしは知らなかった。しかし、試写を一度見ただけで以前からの知り合いのような気がする。そして、それぞれの人物たちの存在感がうれしい。それは、テレビのヴァラエティなどでは出会うことのできない魅力的な人間の姿だ。
主役の塩谷瞬――働く青年の青春の姿。ヒロインの貫地谷しほり――表情の豊かさと手紙を読む声の表現力。主人公の同僚の青年たちのすがすがしさ。憎まれ役・平田満の微妙なユーモアもいい。
そして、小説家志望の萩原さんの妻・鈴木砂羽、中島知子の演ずるところのキャバレーのホステス、包容よくある女性の典型だろう。この作品の人物たちと出会う楽しみ――それも作品『青空のルーレット』の魅力だ。(2007年11月3日より公開。映画『青空のルーレット』公式サイト)