というのは『青空のルーレット』の試写を見て感動したからだ。貫地谷の役は聾唖の女性の役である。ナレーション代わりの日記の読み上げはあるがセリフはない。もっぱら表情と動作による演技だ。これがよかったのはもちろんである。けなげな少女の感情を見事に表現した。
だが、それ以上に感動したのは、手紙をよみあげる声の表現力であった。朗読などではないし、「語り」でもない。自らの思いを表現する声の力は感動のひとことである。この映画、貫地谷の手紙を聴くだけでも価値のある作品である。(2007年11月3日より公開。映画『青空のルーレット』公式サイト)