新発売とはウソである。わたしの希望と提案である。小説には「語り口」がある。文体に潜在している「語り手」の声の響きである。わたしたちが小説を読む場合、じつはこの「語り手」の口調、つまり声の響きをイメージして読んでいるのである。落語家の話しぶりと筆記落語の関係、タレント本の文体と本人の「語り口」との関係などは、そのいい例である。
文学的な作品というものは、この「語り口」が生き生きしたものほど魅力的である。しかし、文学作品の読書に不慣れな人は「語り口」を見つけるのがむずかしい。そこで、わたしの提案は、小説本に15分くらいの「語り口」を紹介するミニCDをつけたらどうかというのである。
じつはすでに、わたしの企画でまるまる全編を収録したCDブックがある。『ロシアのクリスマス物語』(群像社)である。これは5作品70分という大作である。「語り口」の紹介ならば15分でいい。ただし、問題がある。単なる文章のよみあげでは、「語り口」の紹介にならない。いわゆる「朗読」ではだめなのである。そこで、わたしの提唱する表現よみということになる。
今年度の『NHKアナウンサーのはなす・きく・よむ(声の力を生かして編)』(2007年版)でも、今後の朗読の発展方向は、この「語り手」や「語り口」の表現にあると述べられている。つまり、文学作品の文体を生かす朗読、「語り手」を再現する朗読、「語り口」を表現する朗読というものが表現よみなのである。
わたしのこの提案を実行するような出版社が出てこないだろうかと期待している。この発想は出版における「おまけ付きグリコ」のようなものである。わたしは子どものころのおまけの小箱を開くときの期待感を今でもありありと思い出せるのである。
2007年07月31日
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