2007年07月01日

日本語教育とアクセントの問題―高低から強弱へ!―

 日本語教育の課題の一つに、外国人に「拍(はく)」をどう教えるかというものがある。きのう(2007.6.30)国立国語研究所で開催された第32回「ことば」フォーラムで公開されたビデオでもとりあげられていた。

 たとえば、外国人は「少々(しょうしょう)」とか、「あっさり」という拗音や促音などをひとつの「拍」として発音できないというのである。それは「拍」についての理解がないからだと説明されていた。では、それぞれの音(オン)を拍として、たとえば、「しょ う しょ う」とか、「あっ さ り」と発音すればいいのかというと。これまたおかしい。小学生でもなければ、そんな発音する日本人はいないからだ。

 この問題は、わたしの提唱する強弱アクセントの考えを導入すれば、じつに簡単に解決する。折口信夫『言語情調論』(中公文庫)によれば、日本語の強アクセントの原則は、(1)のばす音(オン)、(2)促音、(3)撥音、(4)拗音の四つだという。上の音(オン)も、まさに強アクセントなのである。

 だから、下記のように、赤字の音(オン)を強アクセントにすればよいのである。問題は、高低アクセントに慣れている日本語教育者に、強アクセントの発音ができるかどうかである。

 (1)しょうしょう
 (2)あっさり

 また、同じビデオで発音の区別がむずかしいという例にとりあげられた下記の3例の区別も下記の通りである。

 (3)切ってください――きってください(促音)
 (4)来てください――てください
 (5)聞いてください――きてください(のばし)

 さらに、次の二組の語の発音も下記のとおりである。

 (6)大場さん――おばさん(のばし)
 (7)おばさん――おさん
 (8)美容院――びよういん(のばし)
 (9)病院――びょういん(拗音・のばし)

 日本語の発音は一文字と一音が対応するのではない。(9)のように拗音とのばしが組み合わされて、強アクセントになる例はたくさんあるのである。文の意味を発音で明確にするために問題になるのは、「なかった」という語句である。どの音(オン)から強アクセントをかけるかによって意味が変わるのである。
【参考にしてほしい論文】
日本語は「高さアクセント」ではない
「高さアクセント」から「強さアクセント」へ
 
posted by 渡辺知明 at 06:44| Comment(0) | TrackBack(2) | 音声表現 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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