声の質にはどのような種類があるだろうか。最近、次の6通りを考えた。
(1)大小、(2)高低、(3)長短、(4)軽重、(5)強弱、(6)硬軟
(1)から(3)は常識的なものだ。だが、あとは、わたしの独自のものだ。(1)から(3)は物理的な測定ができる。いわば、量的なもので、本来の声の質ではない。だが、(4)から(6)については、まさに質的なもので測定ができない。だが、耳では判断できる。
(1)から(3)は声の物理的な特性をはかるのには都合がいい。だが、表現についての基準にはならない。朗読などの表現にかかわるのは、(4)から(6)の質である。
(4)は「マ」と「ダ」の発声のちがいだ。「マ」は正面に向かってまっすぐに響く声で、軽く伝わる声だ。それに対して、「ダ」の音(オン)は手元に落ちる声である。返事の「はい!」で言うなら、軽い声は相手に届かせる表現、重い声は自らの存在位置を示す表現となる。これまで高低イントネーションとされるものも、その多くが「軽重」の声に置き換えられるだろう。
(5)は腹式発声(腹式「呼吸」ではない)による声の厚みを伴うものだ。強い声は、単語の強アクセント(高低ではない)、語句のプロミネンス(強調)の表現には不可欠である。だが、一般の朗読理論では、この二つはほとんど問題にされていない。
(6)は喉音(こうおん/のど声)と鼻音(びおん/鼻声)とのちがいだ。喉音は鼻で共鳴させずに口から出る声――相撲の行司の「ハッケヨイ」の声だ。それに対して、鼻音は、相撲の呼び出しの声である。鼻濁音もことばの当たりをソフトにするために鼻音にしたものだ。一般の声の表現では100%の喉音とか鼻音はない。たいていが適当な分量のミックスである。(ちなみに、鼻濁音の多くには強アクセントがつく。そのとき、硬いままの声では当たりが強い。それを避けるためにできたものだろう)
以上のような声の質について、どの要素をとらえるかによって、朗読の表現の考え方は根本から変わるのである。
2007年04月26日
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