2013年02月12日

能『高砂』冒頭の高低・強弱アクセントによる読み方

 Twitterで、能や狂言のイントネーションは正当なイントネーションになっていると発言した。すると、ドイツ在住で世阿弥などを研究している重田みち氏から反応があった。話し言葉と謡の節との関係についてご指摘をいただいた。それについて質問したら、2013年2月11日(月)に「「文字なまり」と「節なまり」」というブログ記事で、謡の節の成立について解説してくださった。

 わたしが気になったのは、重田氏が日本語の高低アクセントの原理から成り立ちを解説していることだった。それで、わたしは拙著『朗読の教科書』で提唱する強弱アクセントの立場から、重田氏の解説を追って見ることにした。重田氏が例に挙げたのは、 「世阿弥作の能『高砂』の、老人夫婦が登場した時の謡の最初の一句」である。それについて、わたしも強弱アクセントの原理で分析をしてみる。

 高砂の、松の春風吹き暮れて、尾上の鐘も、響くなり

(1)高低アクセントによる読み(カタカナが高アクセント)
 たカさごの、マつの/はルかぜ/ふきクれて/
 おノえの/かねも、ひビく/ナり

※高低の読み方をすると、まったく謡とはかけ離れた現代風のコトバづかいになる。

(2)強弱アクセントによる語り(片仮名が強アクセント)
 たカ/さごノ、マつの/はル/かゼ/ふキ/クれて、
 おノ/えノ/かねモ、ひビく/ナり

※強弱アクセントのための発声で、止めのところを沈みのアクセントにすれば、すでに謡に近いよみ方になっている。

(3)「節なまり」の推定(強弱アクセント)
 たカ/さゴ/の□、まつノ/はル/かゼ/ふキ/くレ/て□、
 おノ/えノ/かネ/も□、ひビ/くナ/り□

 最後に下記に上の3通りの読み方のモデル例を録音で掲載しておくことにする。読み方の順序は、(1)→(2)→(3)→(1)である。


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渡辺知明

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posted by 渡辺知明 at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 音声表現 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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