2006年11月14日

ヤマカッコ方式の「記号づけ」による読解法

 わたしは毎朝トイレで、東京新聞のコラム「筆洗」の音読を続けている。小声でぶつぶつと読みながら内容を理解する方法である。声に出して理解するという日本語によるオーラル・インタープリテーション(口頭解釈)の訓練である。わたしの提唱する「表現よみ」の基礎トレーニングである。また、文章表現のおかしなところを発見するという効用もある。

 2006年11月12日(日)「筆洗」第2段落の文につまずいた。下記のような内容である。まずは、冒頭から下記の引用部分を読んでほしい。

「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙で落ちればただの人」。戦後の保守合同劇の立役者の一人、大野伴睦(ばんぼく)の言葉だが言い得て妙。だから政治家は選挙で死に物狂いになる▼昨年の衆院選で初当選した「小泉チルドレン」の多くが、郵政民営化に反対し自民党を離党、除名された「造反組」の復党に反対するのも、ただの人になることを恐れてのことだろう。「刺客」として小選挙区で戦った相手が復党すれば、自分の出馬する場所がなくなりかねない(以下略)

 わたしが「あれっ」と思ったのは次の下りである。
「昨年の衆院選で初当選した「小泉チルドレン」の多くが、郵政民営化に反対し自民党を離党、除名された」

 前段では「選挙で死に物狂いになる」政治家について書かれている。それから「「小泉チルドレン」の多くが」と主語が出てきて、それに続く「反対し」「離党(し)」「除名(され)」という動詞が続くのである。当然、主語に続く動詞を述語として読みたくなる。それで、「おや、小泉チルドレンが、そうなったのか?」と感じたわけである。そこで、わたしは立ち止まって、過去の動乱を思い返して、読み方のちがいに気づいたのである。

 音読による文章の理解は語順のとおりに受け入れるものである。このような文章はよみにくい。いい文章というものは、語句の順序どおりにアタマに入るものである。だから読みやすく理解しやすいのだ。しかし、こんな文章にも「記号づけ」をすると理解できる。わたしがおすすめするのは、ヤマカッコである。文中の名詞句にあたる部分を〈 〉でくくるのである。

 上に引用した文に記号をつけてみよう。これで文章の構造と意味が明確になる。
昨年の衆院選で初当選した「小泉チルドレン」の多く郵政民営化に反対し自民党を離党、除名された「造反組」の復党反対するも、ただの人になることを恐れてのことだろう。」

 つまり、主部は「昨年の衆院選で初当選した「小泉チルドレン」の多く(A)」であり、それに対して「郵政民営化に反対し自民党を離党、除名された「造反組」(B)」を「(復党)に」で受けている。これを含む全体が「の(こと)」でまとめられて名詞句となっているのである。

 つまり、基本の文は、「AがBの復党に反対するのも……」となる。この構造を「、(句点)」で理解させるのにはムリがある。(〈Bの復党〉としてもくくれるが注目部分に限ってくくることにしている)

 このヤマカッコは、わたしの記号づけのほんの一例である。哲学書や専門書などには、これよりももっと複雑な〈 〉の構造をもつものがある。それでも、記号をつけながら読めばじつにかんたんに理解できる。みなさんにおすすめすゆえんである。
posted by 渡辺知明 at 09:19| Comment(3) | TrackBack(0) | 文章表現 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 わたしも小泉チルドレンが離党したとしか理解できませんでした。
 離党で句点を入れるくらいなら、離党を外して「自民党を除名…」と句点を使わないようにするほうが、まだ分かるかと思いました。ここの説明で大事なのは、もう自民党でない人たち(造反組)であるということですから除名の一言で十分説明できるかと。
 確かに、山括弧だと分かりやすくなりますね。
Posted by 難波鷹史 at 2006年11月15日 01:27
これは正しく読み方の問題ですが、
それほどおかしくもないと思います。
離党で句点があるのがおかしいと言いますが、
離党が述語ではないので、当然、句点です。

まず、主語は確定します。
述語が、「・・・・離党。」ならば意味を取り違えますが、「・・・・離党、除名・・・・」ですから、文章は続きます。
たまたま主語になる名詞句が長かっただけですよ。
Posted by africa-kenya at 2006年11月24日 17:48
africa-kenyaさん、コメントありがとうございます。
わたしが根本的な問題としているのは、声でよむ文章としての明晰さです。それが、また、文字としての文章の質をあげることになると思っています。一文字ずつ見ながら、つまり先の文字を見ずによんでいく状態が、声でよみ、耳で聴く、文章の受け止め方です。
Posted by 渡辺知明 at 2006年11月27日 20:42
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