台本というとまったく原文から離れたり、筋に変更を加えたりというものが多いようだ。だが、この台本では、徹底的に賢治の文章にこだわった。「もしも賢治が推敲していったらどんな仕上がりになるか?」という目標で手を入れた。まさに賢治に変わる推敲と添削の作業である。
ただし、大きな構成の変更がラストにある。カムパネルラと銀河鉄道の旅をしたジョバンニが、その友人の死を知ったあとで、母の牛乳のために走るだけではなんとも物足りない。わたしはそこを工夫した。
だが、もちろん、全体を通じて賢治のモチーフとテーマとをより鮮明に浮かび上がらせるための文章の手入れはしてある。カムパネルラとの友情、自己犠牲のテーマなどは、文章への手入れによってより明確に浮かび上がっているはずである。
ぜひとも画像を見ながら、声に出してよみあげて見てほしい。それから、原文との比較もしてもらいたいと思う。
表現よみオーの会の公演は、福島県磐梯町にて5月2日(土)午後である。それがすむまでは、台本の全文の公開はしないつもりだ。(詳細はこちらのページ)