2009年02月17日

朗読と音楽のコラボレーション―現代朗読協会の試み

 わたしはこれまで朗読に音楽を入れるという表現をいろいろと聞いてきた。そのことごとくが中途半端に終わったという感想を抱いてきた。しかし、2月11日に現代朗読協会(代表・水城雄氏)が夏目漱石の「夢十夜」を素材にしたピアノと「群読」による試みには感心した。(公演が予告されたときから関心はあったが連絡方法もわからず都合が付かずに下記のサイトの録画で聞いた)
http://blog.livedoor.jp/roudokuorg/archives/51326050.html

 本来、朗読は作品を生かすことによって表現者の表現行為の実現を示すものである。たとえば、どんなに塩味が好きな調理人でも、すべての食材を塩味にしてしまっていけないのと同じだ。わたしは朗読における作品の処理の仕方を「語り口」とよんで、その実現を表現よみと呼んでいる。

 今回の「夢十夜」は作品のムードとその処理とがうまくいっていた。取り上げられた「十夜」は、絵画でいうなら、サルバドール・ダリのようなものである。日常的なリアリズムとはちがう作品だ。それが複数の女性たちの独特な朗読表現によって生かされていた。

 また、おもしろいことに、そのようなよみ方をすることによって、文の意味がより明確に表現されていた。作品の「語り口」の把握がいかに作品の根本を規定するかという証明だろう。今後の表現活動に期待の感じられる試みであった。
posted by 渡辺知明 at 08:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 批評と感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
渡辺さん。
私たちのライブをご覧いただいてありがとうございます。
もっとも、ライブの「上澄み」をすくい取っただけの映像記録ですので、次回はぜひとも会場までおいでください。
招待制で公開収録ライブをやっています。
私までおっしゃっていただければ、ご招待します。
次回の開催は未定ですが、またお知らせさせていただきます。
Posted by 水城雄 at 2009年02月18日 08:22
水城雄さん、コメントありがとうございます。
次回の公演にも期待しています。
都合のつく限り、聴かせていただきたいと思います。抽象的な詩の表現などはいかがでしょうか。
Posted by 渡辺知明 at 2009年02月19日 18:27
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